水道の断水の原因は?降雨?地震?浄水場での異変?徹底解説!

水道断水の原因は?

水道が断水する原因は様々存在します。

その原因をこの記事で紹介したいと思います。

 

原因1 水質基準に不適合な場合に断水

水を作る浄水場でできた水道水は定期的に必ず水質検査を行わなければならず、水質基準に適合することが条件です。

 

水質基準を満たしていない場合は、是正措置を行わなければならず、その期間給水を行えない状態が発生します。

 

なお、水質基準に不適合の場合には、必ず厚生労働省水道課に報告しなければなりません。

 

また、水道水が正常な状態に回復した際にも必ず所定の水質検査が必要であり、その水質検査の中には、検査が難しく多くの労力と時間がかかるものがあります。

 

こうして、断水から復旧まで多くの時間がかかる場合があります。

 

参考までに水質基準の説明を下に載せておきます。

これだけ詳しく検査を行っているのです。

 

水道水は、水道法第4条の規定に基づき、「水質基準に関する省令」で規定する水質基準に適合することが必要です。

・一般細菌  1mlの検水で形成される集落数が100以下 

大腸菌  検出されないこと

カドミウム及びその化合物  カドミウムの量に関して、0.003mg/L以下

・水銀及びその化合物  水銀の量に関して、0.0005mg/L以下

・セレン及びその化合物  セレンの量に関して、0.01mg/L以下

・鉛及びその化合物  鉛の量に関して、0.01mg/L以下

ヒ素及びその化合物  ヒ素の量に関して、0.01mg/L以下

六価クロム化合物  六価クロムの量に関して、0.05mg/L以下

亜硝酸態窒素  0.04mg/L以下

・シアン化物イオン及び塩化シアン  シアンの量に関して、0.01mg/L以下

・硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素  10mg/L以下

・フッ素及びその化合物  フッ素の量に関して、0.8mg/L以下

・ホウ素及びその化合物  ホウ素の量に関して、1.0mg/L以下

・四塩化炭素  0.002mg/L以下

・1,4-ジオキサン  0.05mg/L以下

・シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレン  0.04mg/L以下

ジクロロメタン  0.02mg/L以下

・テトラクロロエチレン  0.01mg/L以下

トリクロロエチレン  0.01mg/L以下

ベンゼン  0.01mg/L以下

・塩素酸  0.6mg/L以下

・クロロ酢酸  0.02mg/L以下

クロロホルム  0.06mg/L以下

・ジクロロ酢酸  0.03mg/L以下

・ジブロモクロロメタン  0.1mg/L以下

臭素酸  0.01mg/L以下

・総トリハロメタン  0.1mg/L以下

・トリクロロ酢酸  0.03mg/L以下

・ブロモジクロロメタン  0.03mg/L以下

・ブロモホルム  0.09mg/L以下

ホルムアルデヒド  0.08mg/L以下

亜鉛及びその化合物  亜鉛の量に関して、1.0mg/L以下

・アルミニウム及びその化合物  アルミニウムの量に関して、0.2mg/L以下

・鉄及びその化合物  鉄の量に関して、0.3mg/L以下

・銅及びその化合物  銅の量に関して、1.0mg/L以下

・ナトリウム及びその化合物  ナトリウムの量に関して、200mg/L以下

マンガン及びその化合物  マンガンの量に関して、0.05mg/L以下

・塩化物イオン  200mg/L以下

・カルシウム、マグネシウム等(硬度)  300mg/L以下

・蒸発残留物  500mg/L以下

・陰イオン界面活性剤  0.2mg/L以下

・ジェオスミン  0.00001mg/L以下

・2-メチルイソボルネオール  0.00001mg/L以下

・非イオン界面活性剤  0.02mg/L以下

・フェノール類  フェノールの量に換算して、0.005mg/L以下

・有機物(全有機炭素(TOC)の量)  3mg/L以下

・pH値  5.8以上8.6以下

・味  異常でないこと

・臭気  異常でないこと

・色度  5度以下

・濁度  2度以下

 

原因2 配水管破損により断水

 

浄水場で正常な水道水を作っても、浄水場と市民を結ぶ配水管が破損すると、断水が発生します。

 

配水管破損の原因は次の2つです。

 

地震などによる水道管の破損

 

・水道管の老朽化による水道管の破損(漏水)

 

このため、現在では、地震に強い配水管への取り替えや老朽化した配水管の取り替えを行っている自治体もあります。

 

しかし、

大きな自治体では、配水管の数が多いことと、配水管の入れ替えの際に計画断水を行う必要があることなど、さまざまな問題があることで、一度に全部を入れ替えるのは困難な状態です。

 

もちろん、金銭面でも多額の費用がかかりますので、計画的に古い配水管から行うのが現状です。

 

小さな自治体でも同じですが、特に金銭面での確保が重要な課題となっています。

 

原因3 浄水場で処理に不具合が起きて断水

 

主な要因としては次のものがあげられますが、複合的に起きる場合もあります。

 

・浄水処理できる能力以上の濁った河川水が流入してきた。

・浄水処理できる多量の油が流入してきた。

・老朽化により、薬品を入れる機械が正常に動作しなかった。

・停電により、薬品を入れる機械が正常に動作しなかった。

 

それでは、浄水処理の仕組みについて説明したいと思います。

「にごり」の正体とその処理

どのようにして濁りを取り除き、きれいな水道水を作っているのでしょう?

 

浄水場の水源は、主に川の水です。川の水は、程度の違いはありますが、濁っていることがほとんどです。

 

川の濁りは、主に粘土成分です。

 

また、金属や有機物が不溶性の粒子になったものや、プランクトンなどの微生物が濁りの原因になることもあります。

 

 濁り成分のうち、粒の大きいものはすぐに沈みますが、小さい濁り粒子はなかなか沈まず、いつまでも水の中を漂っているので、そのまま放っておいても透明な水になることはありません。

 

このため、濁った水から透明な水道水を作るには、浄水処理が必要になります。

 

浄水処理の仕組み

浄水処理とは、水道水になる前の河川水や地下水を、利用者の方が飲めるようにきれいにすることです。

急速ろ過

水中の小さな濁りや細菌類などを薬品で凝集、沈殿させた後の上澄みを、一日に120m〜150mという速度でろ過池の砂層に通し、水をきれいにする方法です。

 

比較的にごりの多い河川水や湖沼水の処理に適しており、現在最も広く用いられています。

「凝集沈殿」および「砂ろ過」

浄水場では、水から濁り成分を除去するため、「凝集沈殿」および「砂ろ過」という処理を行っています。

凝集沈殿処理

川から取水した水に凝集剤という薬を投入し、浮遊している濁り成分を集め、大きな粒にして沈めます。

 

砂ろ過処理

凝集沈殿処理をした水のうち、上澄みのきれいな水を砂の層に通して、凝集沈殿処理でとりきれなかった細かい濁りを除去します。

凝集沈殿処理を行う際に使う薬品

凝集沈殿処理を行う際、ポリ塩化アルミニウム(通称PAC:パック)という、高分子凝集剤を使用しています。

 

PACがどのように作用して濁りを集めるかというと・・・

 

1.水の中の濁り成分は、通常マイナスの電気を帯びているため、互いに反発しあいながら水中に分散して漂っています。

 

2.そこへPACを投入すると、プラスの電気を帯びたPACが濁り成分の表面に付着し、濁り成分のマイナス電荷を打ち消して電気的に中和します。

 

3.電気的に中和された濁り成分は、反発する力がなくなり、互いに寄り集まりフロックというものができます。

 

4.沈殿池によりフロックを沈め、除去し、濁質をほぼ除いた水を次の砂ろ過池に送ります。

 

砂ろ過のしくみ

砂ろ過を行う砂層は、1mm未満の砂と数mmから数cmの砂利が数十cm〜1m程度の厚さに敷き詰められた構造をしています。

 

この砂層の上から下へ水を通すことにより、凝集沈殿でとりきれなかったこまかい濁りを除去します。

 

 ただし、除去しようとしている濁りの大きさに比べ、砂粒と砂粒の隙間はかなり大きいため、砂粒の隙間で濁りをこしとるのではなく、濁りが砂粒の表面にくっつくことにより除去されます。

 

補足事項

ここで補足事項を3点挙げます。

 

1.水はpHが中性でないとうまく処理されなく、酸性でもアルカリ性でも凝集不良を起こし、濁度の漏えいをひき起こします。

 

2.凝集剤PACを加えると、水はpHが酸性になるため、消石灰などのアルカリ性の薬品を加えないといけません。

 

ここで難しいのは、消石灰を加える量で、多くても少なくても凝集不良をひき起こします。

 

3.通常の「凝集沈殿」および「砂ろ過」では、油臭の除去はできません。

そのため、油が水源に混入してきた際には、緊急的に粉末活性炭で除去することが通常です。

 

濁度と色度

・濁り成分とは、【濁度】と【色度】というものです。

 

色度の割合が多くなると浄水処理が非常に難しくなります。

 

色度が多くなると、凝集剤を通常よりも非常に多く注入しなければなりませんので、処理が非常に困難になります。

濁度の説明

濁度とは、水の濁りの程度を示すもので、土壌その他浮遊物質の混入、溶存物質の化学的変化などによるものであり、地表水においては、降水の状況などによって大幅な変動を示します。

 

濁度は、濁度以外の水質項目に関連していたり、影響を与えたりします。

 

例えば、濁度が高い原水及びろ過水の場合、濁度と外観、色度、臭味の間に一定の関係が認められています。

 

飲料水に含まれる濁度は微生物学的な観点から水質に重大な影響を及ぼすことがあります。

 

濁度粒子の表面には栄養塩類が吸着されやすいため、細菌の増殖を活発にします。

 

色度の説明

水中に含まれる溶解性物質及びコロイド性物質が呈する類黄色ないし黄褐色の程度をいい、主として地質に由来するフミン質による呈色と同じ色調の色について測られるものです。

 

色度を生成する有機物質は、それ自身健康に有害であるとは考えられていません。

 

しかし、それらは塩素と反応して望ましくない量のトリハロメタンを含む消毒副生成物を造ります。

色度が非常に高い水の処理

このような水は浄水場では、処理しづらく、特に浄水場の上流に流すと凝集不良になってしまう可能性が高いのです。

 

このような水を凝集処理するには、多量のポリ塩化アルミニウム(通称PAC:パック)という、高分子凝集剤を注入しなければなりません。濁り成分をフロックというものにして沈殿させて取り除く必要があります。

 

 しかしながらPACを多量にいれると次のようになります。

 

・PACを入れると、濁り成分がフロックになりますが、PACを多量に入れすぎると通常のフロックと違い、重量は小さく体積だけが大きく沈みにくくなります。

 

・通常はろ過池の前の沈殿池でフロックを沈殿させて取り除けますが、PACを多量にいれたフロックは体積のみ大きく沈まないので、沈殿池をスルーしてしまいます。

 

・沈殿池をスルーしたフロックは、そのままろ過池に入り、次第にろ過池を目詰まりさせ、ろ過池の機能を損なわせ、濁度の漏出に至ります。

 

このようになり、濁度の漏出が起こり水質に次のような問題点が起きます。

 

  • ろ過池出口の濁度が0.1度以上超過。(クリプトスポリジウム等対策の観点から0.1度未満にするように定められています)

 

  • 残留塩素が0.1mg/L以上確保されなくなります。濁度成分が残っていると残留塩素の減少スピードが増加します。(残留塩素がどこの区域でも0.1mg/L以上確保されていることが衛生上の観点から厚生労働省で定めています)

 

油処理に関する説明

通常の浄水処理では除去できず、そのままでは配水に油の臭いをつけてしまい、苦情の電話が殺到します。

 

油臭を除去するためには、粉末活性炭を緊急的に投入しなければなりません。

 

しかしながら、これにはいくつか問題点があります。

 

・通常では油の流入は起こらない。

浄水場の管理を行っている方が気づくのが遅れたら、配水に油臭をつけてしまう。

・そもそも、無人浄水場がある。

・粉末活性炭が非常に高価である。

浄水場にもよるが、粉末活性炭を保管しておく設備が大きくないと、連続した油流入事故に対応できない。

 

原因4 ろ過池出口の濁度が0.1度以下を満たされなくなり断水

クリプトスポリジウム等対策の観点から定められています。

参考 浄水処理における濁度管理等の徹底について

厚生労働省健康局

水道課水道水質管理室

濁度管理の徹底について

ろ過池出口の水の濁度を常時把握し、ろ過池出口の濁度を0.1度以下に維持すること。なお、浄水処理の効果を判断するために用いる濁度計については、十分に調整されたものを用いること。また、濁度計がろ過池の出口濁度を適切に把握できる場所に設置されていることを確認すること。

 

原因5 残留塩素が所定の値を確保できなくなり断水

残留塩素がどこの区域でも0.1mg/L以上確保されていること。(衛生上の観点から厚生労働省で定めています)

参考  水道等における衛生上の措置の徹底について

厚生労働省健康局

水道課水道水質管理室

残留塩素濃度管理の徹底について

水道法施行規則第17条第1項第3号の規定に基づき、給水栓における水が、遊離残留塩素を0.1mg/l(結合残留塩素の場合は、0.4mg/l)以上保持するように塩素消毒をすること。ただし、供給する水が病原生物に著しく汚染されるおそれがある場合又は病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を多量に含むおそれがある場合の給水栓における水の遊離残留塩素は、0.2mg/l(結合残留塩素の場合は、1.5mg/l)以上とすること。

なお、上記規定は、浄水場で一旦消毒されたとしても、送水、配水等の過程で汚水を吸引する等により汚染されるおそれがあるため、消毒の効果を給水栓に至るまで保持させておくことを意図したものである。したがって、末端給水栓に浄水が到達するまでに相応の時間がかかる場合には、浄水場における塩素消毒が適切に行われているか否かについて別途確認する必要があり、浄水池、配水池における残留塩素濃度の異常を速やかに検知できるようなシステムを整備し、また、各種故障に適切に対応できるシステムとなっているか確認すること。

また、塩素消毒が行われなかった場合には、「水質基準に関する省令の制定及び水道法施行規則の一部改正等並びに水道水質管理における留意事項について」(平成15年10月10日健水発第1010001号厚生労働省健康局水道課長通知)の別添3に基づき、取水及び給水の緊急停止措置を講じ、かつ、その旨を関係者に周知させる措置を講じること。

 

読んでいただきありがとうございました。

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