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水道水中の混入が不明な元素ベリリウム ICP-MS測定の落とし穴

雑学
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ベリリウム症は治す方法なし!水道水に混入してもわからないベリリウム!ICP-MS測定の落とし穴とは?

ベリリウムとは?

ベリリウムは元素記号Beという物質です。

原子量はおよそ【9】の元素です。

 

地球上にはベリリウムは少なく、土の濃度はわずか2ppmという値です。

 

(参考)

1ppm

1mg/kgまたは1mg/Lのことです。

 

※1kg当たり、1mgのベリリウムを含むということです。

※1L当たり、1mgのベリリウムを含むということです。(水に溶けている場合など)

 

 

生体内機能がないので植物もほとんど吸収しません。

ただし、全く吸収しないわけではないので、平均的な成人は体内に35μgのベリリウムを持っています。

 

 

(参考)

1μg(マイクログラム)はmg1000分の1の値です。

 

(参考)

単位gmg→μgngの順番に1000分の1だけ小さくなります。

 

()1g=1000mg1mg=1000μg

 

ベリリウムの毒性

ベリリウムは必須元素マグネシウムの同族なので、酵素分子内のマグネシウムに置き換わって誤作動させます。

大量のベリリウムを摂取すると肺に炎症が起き、『ベリリウム肺(症)』という慢性症状が出て息切れします。

昔から、特別な金属産業の労働者がかかる職業病でした。

その特徴は、一度に吸っても、少しずつ長期間吸ってもベリリウム肺(症)になります。

 

 

ベリリウム肺(症)は治らない

ベリリウム肺(症)はいったん発症したら治せない病気です。

ただし、最悪の症状が出た際にはステロイド剤で緩和はできます。

 

ベリリウム肺というのは、名前が紛らわしいのですが、肺にベリリウムがたまって起きる病気ではありません。

ベリリウムを含むほこりが肺に入れば、たちまち吸収され血液に入ったあと、骨に運ばれてたまる病気です。

 

潜伏期間は5年と長い場合もあります。

発症者のほぼ3分の1は命を落とし、残る3分の2にも永続的な障害が残ります。

 

 

過去に起きたベリリウム事故

ベリリウムの大事故が1990年に発生しています。

中国との国境に近いロシアの軍需工場で核弾頭用ベリリウムの加工中に爆発が起き、酸化ベリリウム4トンを含むダストが人口12万人のウストカメノゴルスクの街にまき散らされました。

事故後の調査で、住民の血中ベリリウムが増え、住民のほぼ一割が被害を受けました。

 

 

ベリリウムでの死亡例

産業でベリリウムを浴びて亡くなった事例もあります。

蛍光灯の製造や廃棄作業が危険とされています。

 

アメリカではかつて400人以上がベリリウム症になりました。

高性能ばねになるベリリウム-ニッケル合金や、火花の飛ばない工具になるベリリウム-銅合金の製造工場も危険です。

イギリスでは、20世紀後半にベリリウム症で30人が亡くなっています。

潜伏期間が長いため、ある金属加工作業者など、大量暴露から29年もたって亡くなっています。

 

ベリリウムを測定する方法

 

ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)での測定

重金属の分析には、ICP-MSという金属を測定する装置で一斉分析が一般的です。

 

ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)とは?

プラズマ (ICP) をイオン源として使用して、発生したイオンを質量分析部

(MS) で検出します。

分析ガスは、アルゴンガス(Ar)とヘリウムガス(He)、水素ガスが主に使用されます。

周期表上のほとんどすべての元素を同時に測定可能で、低濃度まで検出できます。

 

 

ICP-MS測定の方法ではベリリウムの濃度が不明な場合アリ

 

STD(標準液)を測定した後に、目的のサンプルを測定します。

 

STD(標準液)とは?

→濃度が既知のものに調整したものです。

 

STD(標準液)は、薬品として販売している濃い原液を希釈して測定し、検量線というものを作成します。

※試薬メーカーで、濃度既知のものが金属分析用に販売されています。

 

検量線から、目的のサンプル。

つまり、対象物質の重金属濃度を求めます。

 

 

ICP-Mでベリリウムの混入が不明なのは何故?

分析全般に共有ですが、測定の際に『内部標準』というものを一緒に測定して補正して計算します。

ベリリウムは、ICP-MS測定の際に、低質量の金属の内部標準として使用されます。

つまり、既知のベリリウム濃度の溶液を調整して、ICP-MSで測定して、目的のサンプルを補正する仕組みとなっています。

 

内部標準の選択の仕方

・測定する全部のサンプルに含まれていない物質であること。

・質量数の近い物質を選択すること。

・測定値が安定していること。(感度が十分にとれていること)

などです。

 

そのため、『多少のベリリウムが混入してもわからない』ということになります。

 

内部標準法を絶対検量線法にすることで、ベリリウムの混入を見抜けます。

ですが、内部標準法の方が、測定値が安定した結果となるため、『この試料にはベリリウムが入っている可能性がある』という事前の情報がないと、まずわからないと言えます。

 

 

フッ素の毒性については下の記事で紹介しています。

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 読んでいただきありがとうございました。

 

 

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