グルコサミン
人間の骨と骨の接合部分にある軟骨(結合組織)は、からだを使うことによって少しずつすり減っていきます。
軟骨がすり減ると、骨と骨とが直接こすれ合うことになり、違和感や痛みを感じるようになります。
これがひざの痛みなどの関節痛です。
軟骨はグルコサミノグリカンというムコ多糖体(ねばねばと粘性をもった物質)でつくられますが、このムコ多糖体を産出するにはグルコサミンの働きが必要です。
若いうちは体内でグルコサミンが順調につくられるので心配はいりませんが、年齢を重ねるにつれてグルコサミンの生産が低下していき、組織が不足すると痛みを生じるようになります。
グルコサミンの変形性関節症改善効果の作用(詳細)
ヒアルロン酸産生促進
グルコサミンの作用として、軟骨保護作用が考えられています。
正常な関節では、滑膜から分泌される滑液が荷重の衝撃を和らげたり、関節の動きを滑らかにしますが、滑液中に主成分として存在するヒアルロン酸がその主な役割を果たします。
変形性関節症の方の滑液においては、ヒアルロン酸含有量の低下やヒアルロン酸分子量の低下などが報告されているため、変形性関節症に伴う関節痛や関節機能の改善にヒアルロン酸の関節腔内注射が広く利用されていて一定の効果が得られています。
グルコサミンは関節でのヒアルロン酸産生に関与するといわれていて、ヒト滑膜由来細胞およびヒト軟骨由来細胞にグルコサミンを添加するとヒアルロン酸産生を促進するという報告があります。
実際に変形性関節症患者から採取した滑膜細胞においても、グルコサミン添加によりヒアルロン酸産生促進が認められています。
抗炎症作用
もう一つのグルコサミンの作用として、抗炎症作用があります。
軟骨細胞では、変形性関節症発症により産生されるインターロイキン-1βの影響によりプロスタグラジンE2や一酸化窒素およびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の産生が増加します。
プロスタグラジンE2はプロスタグラジンE2受容体を介して発熱を引き起こし、破骨細胞により骨吸収を促進します。
また、一酸化窒素は関節軟骨細胞のアポトーシス(細胞の自殺)を誘導し、マトリックスメタロプロテアーゼは軟骨細胞を破壊することが知られています。
しかし、グルコサミンは、軟骨細胞でこれらの産生を抑制するとの報告があります。
また、グルコサミンが炎症細胞である好中球の働きや滑膜細胞の活性化を抑制することも報告されています。
グルコサミンは、軟骨を形成するための成分として、補充することにより軟骨保護作用を得ることを目的として摂取されることが多いですが、グルコサミン含有サプリメントの関節痛改善効果は比較的早期に認められることから、グルコサミンの抗炎症作用が変形性関節症や関節機能の改善に大きく関係している可能性があります。
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