変形性膝関節症
前触れ症状に注意が必要な変形性膝関節症
変形性膝関節症では、ひざが痛くなる前の段階で、前触れのような症状がみられます。
起床して、ひざを動かし始めたときなどに、ひざに違和感やこわばり、痛みなどを感じますが、少し歩いたりすると、すぐに治まるという症状です。
天気の悪い日や寒いときにだけ、違和感や小さな痛みが出る場合があります。
こうした状態を放置しておくと、やがて動くたびにひざが痛む、ひざの曲げ伸ばしがしにくい、などの症状が現れるようになります。
さらに悪化すると、歩行困難になって寝たきりの状態になる危険性もあります。
前触れの症状に気づいたら、早めの対策が必要です。
変形性膝関節症の薬物療法に用いられるものには副作用も!
非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)
ひざの痛みをやわらげるために、最も多く用いられている薬です。
非ステロイド性消炎鎮痛薬は、長期間用いると、胃腸障害や腎臓障害などの副作用が起こる可能性があります。
最近では、非ステロイド性消炎鎮痛薬の一種で、胃腸障害などの副作用が起きにくいCOX-2選択的阻害薬も用いられます
内服薬だけですが、非ステロイド性消炎鎮痛薬と同様の鎮痛効果が認められています。
ただし、まれに心筋梗塞や心不全などの副作用が起こることがあります。
解熱鎮痛薬
アセトアミノフェンという薬です。
脳に働いて、痛みに対する感受性を鈍くする作用があります。
非ステロイド性消炎鎮痛薬と比べると、副作用は少ないのですが、まれに、肝機能障害が起こることがあります。
変形性膝関節症とは?原因とは?
ひざの痛みが起こる病気で、最も多く見られるのが変形性膝関節症です。
年齢が高くなるにつれて、その発症率は高くなります。
また、男性よりも女性が多いのも特徴です。
ひざの関節は、正常な場合は大腿骨と脛骨の間に隙間がありますが、変形性膝関節症の人は、半月(板)や関節軟骨がすり減り、関節の隙間が部分的に消失しています。
関節軟骨がすり減ってくると、その過程で削られた軟骨の破片が生じます。
この破片が、関節を包む関節包の内側にある滑膜を刺激して炎症を起こします。
初期の段階では、この炎症が痛みのおもな原因になります。
滑膜は関節液を分泌・吸収していますが、炎症がひどくなると関節液が過剰につくられ、関節内にたまることもあります。
こうなると、ひざがはれて熱をもったり、強い痛みが出たりします。
進行すると、関節軟骨はますます摩耗して軟骨と軟骨の隙間が狭くなり、半月もすり切れていきます。
やがて関節軟骨がなくなって、骨と骨どうしが直接ぶつかり、いっそう強い痛みが現れます。
また、骨どうしがぶつかることで、大腿骨や脛骨の関節表面に骨棘という「とげ」ができることがあります。
このとげが関節包や骨膜とこすれ合い、激しい痛みを起こす場合もあります。
ひざ痛の原因と危険因子
日本人でひざ痛の人は、少なくとも1000万人はいるとみられています。
その8~9割は、「変形性膝関節症」という病気によるもので、半月が傷つき、関節軟骨がする減ることで痛みが起こります。
発症にはさまざまな要因が考えられますが、おもな危険因子は加齢と肥満、そして運動不足です。
加齢
年齢とともに、ひざにかかる負担が積み重なり、半月が傷ついたり、関節軟骨がすり減ったりしやすくなります。
一般的には、50歳を超えると、この病気を発症する傾向にあります。
肥満
体重が増加すると、ひざへの負担がより大きくなります。
例えば、体重が3kg増えると、片方のひざにかかる負担は、立っているときは約3.3kg、階段を下りるときには約10kgも大きくなります。
運動不足
体をあまり動かさないでいると、次のような問題が起こります。
脚の筋力低下
歩いたり走ったりして着地するとき、ひざにかかる衝撃は、脚の筋肉が働くことでやわらげています。
しかし、筋肉が弱まると、それが十分にできなくなり、ひざにかかる負荷が大きくなります。
関節の硬化・動きの制限
ひざをあまり動かさないと、関節が硬くなり、ひざの可動域(曲げ伸ばしできる範囲)が狭くなってしまいます。
その結果、正座や脚をまっすぐに伸ばすことができなくなり、日常生活に支障をきたします。
関節軟骨への悪影響
ひざの関節は関節包という袋状の膜に包まれ、その内側には滑膜という薄い膜で覆われています。
関節包の中の空間には、滑膜が分泌する関節液(滑液)が少量含まれています。
関節軟骨の細胞は、関節液から栄養を得ているため、運動不足でひざを動かさないと、これは行き渡らなくなり、関節軟骨が栄養不足になります。
コメント