【アンコウ】皮にはコラーゲン豊富!肝にはビタミン・ミネラル豊富
アンコウは捨てるところがないといわれ、エラ、尾、身、皮、肝、胃、卵巣の7つは、アンコウの「7つ道具」と呼ばれています。
鍋でいただくのがおすすめです。
アンコウは、まな板の上でさばくのが難しいため、鉤に口をかけて切り分ける「吊るし切り」が有名です。
アンコウの身は低カロリーで、レチノール(ビタミンA)、ナイアシン、ビタミンB12が豊富です。
さらに、皮にはコラーゲンが多く含まれ、美肌効果を期待できるので女性におすすめの食材です。
また、肝は高カロリーですが、レチノール(ビタミンA)、ビタミンD、ビタミンE、亜鉛、鉄、DHA、EPAを豊富に含んでいます。
肝(100g中)のビタミン、ミネラル含有量
・レチノール(ビタミンA):8300μg
・ビタミンD:110μg
・ビタミンE:13.8mg
・亜鉛:2.2mg
・鉄:1.2mg
アンコウに含まれる栄養素
・ビタミンA
・ナイアシン
・ビタミンB12
・コラーゲン
・ビタミンD
・ビタミンE
・亜鉛
・鉄
・DHA
・EPA
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アンコウの効能
ビタミンA
ビタミンAは肌の修正や再生に必要な成分であることから、美肌効果が期待できると言われています。
ビタミンAの主要な成分であるレチノールには、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めたりする働きがあります。
ビタミンAが不足すると、夜盲症(暗いところで物が見えづらくなること)になると言われています。
これは、網膜にあるロドプシンという明暗を感じる物質(視覚色素)が、ビタミンAから作られるためです。
また、ビタミンAは体内で発生する活性酸素から、からだを守る働きがあり、若さと健康を保つことができます。
ビタミンAが十分でない場合には、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンD、カルシウム、リン、亜鉛はその効果が発揮されません。
栄養素の潤滑油としても、ビタミンAを摂取することは重要です。
眼精疲労
多くの方(自分もそうです)が、スマホやテレビ、パソコンなどを通して、多くの情報を集めていて、それだけ目は酷使されています。
その結果、疲れ目や充血、ドライアイなどの眼精疲労に悩まされる人が増加しています。
脳に送られてくる外界刺激の情報の8割は視覚情報といわれています。
つまり、眼精疲労から脳の疲れを引き起こし、頭痛や肩こり、首こり、イライラ、集中力低下、倦怠感(全身疲労)を引き起こす場合があります。
目の周辺には数え切れないほどの毛細血管が走り、目に栄養と酸素を供給しています。
目の使い過ぎでこれらの毛細血管の血行が悪くなるのが、「疲れ目」や「眼精疲労」と呼ばれる状態です。
目の機能回復に効果的な栄養素
眼精疲労を改善するためには、まず目を休めることが一番ですが、あわせて、目の機能向上に効果がある栄養成分を摂取すると、回復のスピードも早まり、疲れにくくなります。
昔から、目の機能回復にはビタミンA、β-カロテンが効くとされています。
ビタミンAやβ-カロテンは、目の網膜にある光や色を感じるのに必要なロドプシンという色素を生成します。
ロドプシンは、疲れ目の改善や目の乾燥を防ぐ働きをしています。
そのほか、目の充血を防ぐビタミンC、視神経や筋肉の疲労を回復するビタミンB1、ビタミンB2も目の機能回復に効果を発揮します。
ナイアシン
・皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きをします。
・ナイアシンは、糖質、脂質、たんぱく質の代謝に働き、細胞でエネルギーを産生する際に働く酵素を補助します。
・血行を改善して、脳神経の働きを良くする、コレステロールや中性脂肪を分解するなどの働きがあります。
・エストロゲン(卵黄ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)といった性ホルモンの合成に不可欠で、神経系統の健康維持と脳の正常機能を促します。
・末梢神経を広げる作用もあり、冷え性や肩こりなどの改善に効果があります。
・喘息患者の喘鳴(呼吸のたびに出るゼイゼイ音)を起こりにくくする効果があります。
・アルコールのもととなるアセトアルデヒドを分解する働きがあり、悪酔いや二日酔いの予防にも役立ちます。
ナイアシンが不足すると肌細胞の生まれ変わりがうまく行われなくなり、肌荒れになることがあります。
ナイアシン不足によって、細胞のエネルギーが不足することで、倦怠感を感じることもあります。
また、不足するとペラグラという症状が起きます。
日光を浴びやすい顔や手足を中心に炎症が起き、下痢などの胃腸障害を発症します。悪化すると、頭痛やうつなどの精神症状を生じます。
ビタミンB12
ビタミンB12は葉酸と一緒になって赤血球のヘモグロビンの合成を助けています。
不足すると造血がうまくいかず、赤血球の数が減ったり、異常に大きい赤血球ができたりと、生成がうまくいかなくなります。
そうすると全身に酸素が行きわたらなくなり、だるさや動悸・息切れなどが起こってしまいます。
これを「悪性貧血」と呼んでいます。
また、ビタミンB12はタンパク質や脂質のエネルギー化にも関わっているほか、脳の中枢神経や末梢神経の機能を正常に働かせる重要な役割もあります。
肩こりや腰痛には末梢神経が関係しているため、ビタミンB12には、痛みを軽くする働きもあります。
コラーゲン
コラーゲンは繊維性のたんぱく質で皮膚、骨、腱などに多く含まれていて、からだを構成するたんぱく質の30~40%を占めています。
線維芽細胞や軟骨細胞など特殊な細胞でしかつくることができない物質でもあります。
化粧品などに動物の結合組織から抽出されたコラーゲンが使われていますが、コラーゲンを多く含む食品を積極的にとることで、体内での効果も得られることがわかっています。
コラーゲンは、ビタミンCや鉄と一緒にとることで体内での生成がよりいっそう促進されます。
皮膚の老化を防ぐ効果
皮膚組織では水分以外の70%がコラーゲンです。
コラーゲンは細胞と細胞をつなぎ、酸素や栄養素を補給し、老廃物を除去する働きをしています。
このことが、肌のシミやシワを防いでみずみずしく維持させ、美容に効果があるといわれる理由です。
コラーゲンは、細胞を結合させ、皮膚の新陳代謝を活性化し、肌を若々しく保ちます。
年齢とともに減少していくため、補給しておきたい成分です。
コラーゲンは、20歳前後をピークにして、生産能力が衰えはじめ、加齢とともに不足がちになってきます。
コラーゲンが不足すると、皮膚はみずみずしさをなくし、老化が進行してしまいます。
皮膚とコラーゲン
皮膚は、表面から表皮、真皮、皮下脂肪などで成り立っています。
表皮は皮膚の一番外側にあり、外的刺激から肌を守る働きをしています。
その表皮を下から支えるのがコラーゲンを含む真皮で、コラーゲンが繊維状にゆるく絡み合って網目構造を作り、これが肌の潤いや弾力性、伸縮性の源となっています。
表皮の細胞は、およそ28日周期で新しく生まれ変わり、古くなったものはアカとなってはがれ落ちます。
この皮膚細胞の新陳代謝を「ターンオーバー」といいます。
ターンオーバーのサイクルが正常に保たれていれば、肌は健康な状態を保つことができ、そのカギを握っているのがコラーゲンです。
体内では、コラーゲンの分解と合成が絶えず繰り返されますが、年齢を重ねるにつれ、そのバランスは崩れてきます。
つまり、新しいコラーゲンができにくくなり、分解されるはずの古いコラーゲンが体内に蓄積されてしまいます。
古いコラーゲンは、新鮮なものに比べて弾力性や伸縮性に乏しく、保水能力もほとんどありません。
こうしたコラーゲンの新陳代謝の衰えが、ターンオーバーのサイクルを乱し、シミ、シワ、肌荒れといった肌の老化の原因になると考えらえています。
肌のトラブルを防ぎ、アンチエイジング効果を高めるには、コラーゲンの新陳代謝を活発にさせることが重要です。
不足したコラーゲンを摂取しても、他のたんぱく質食品と同じように摂取した分がそのまま体内のコラーゲンになるとはいえません。
体内でコラーゲン合成に必要なビタミンCや鉄と同時に摂取することで、高い効果が得られます。
コラーゲン摂取の効果については、22歳から58歳の健常な女性48人にコラーゲン5gを含む飲料を与えたところ、皮膚の柔軟性は5週目から有意に上昇、また、皮膚の弾力性は、40~59歳の群では、10週目で有意な上昇がみられ、加齢によって低下した弾力性を回復させる効果があることが示されています。
骨粗しょう症や関節炎を防ぐ効果
コラーゲンは骨の組織にカルシウムが定着するのを助け、骨粗しょう症の予防や改善に効果があります。
また、関節の軟骨部にはコラーゲンが多く存在し、関節の軟骨部の動きをスムーズにします。
関節の痛みがある場合はコラーゲン不足の場合もあります。
関節炎の患者にコラーゲンを投与した臨床試験では、ひざや股関節の痛みが緩和し、関節機能の改善が認められています。
血管を丈夫にし、弾力を与える効果
身体の老化は血管の老化からも引き起こります。
血液の流れが悪くなれば、細胞の活性に支障をきたします。
そのため、血管の老化を防げば、身体の老化を防ぐことができます。
血管はコラーゲンでできたチューブのようなもので、その表面には絶えず細かい傷が生じています。
コラーゲンの新陳代謝が低下すると、傷口の修復がうまくいかなくなり、血液中のコレステロールやカルシウムなどが傷口から侵入しやすくなります。
血管を構成するコラーゲンが柔軟性を失うと、その部分が硬くなり動脈硬化が始まります。
動脈硬化を起こすと、硬くなって広がらない血管の中を無理やり血液を流さなければならなくなるため、血圧が上昇しやすくなります。
さらに、コレステロールにカルシウムが沈着して固まった流動性の悪い血が流れると、血管の壁はもろく壊れやすくなり、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞などの原因になります。
コラーゲンを上手に摂取することで、血管の柔軟性が保たれ、身体の老化を防ぐことができます。
眼精疲労や老眼を予防する効果
目の水晶体や角膜にもコラーゲンが含まれ、目の健康を保っています。
新鮮なコラーゲンが充足していれば、眼精疲労や老眼などの予防に役立つと考えられています。
免疫力向上効果
免疫機能を高め、がん予防、アレルギー体質の改善が期待されています。
コラーゲンとビタミンC・鉄
ビタミンC
コラーゲンを摂ると、体内で消化・分解され、アミノ酸の形で吸収されます。
このアミノ酸を材料に、身体の中でコラーゲンが作られますが、はじめに未熟なコラーゲンが作られ、やがて成熟したコラーゲンになっていきます。
ビタミンCは、未熟なコラーゲンから成熟したコラーゲンになっていくときに、その合成を助ける働きがあります。
そのため、コラーゲンとビタミンCを一緒に摂ると、高い効果が得られます。
鉄
鉄はたんぱく質の一種であるコラーゲンの合成にかかわっています。
肌や髪、爪の質の低下はたんぱく質だけでなく、鉄不足が原因の場合が多いといわれています。
コラーゲンは体内に入るときに分解されてしまうのですが、それを再合成するときに鉄が必要です。
また、ニキビや湿疹ができやすいのも、鉄欠乏が原因している場合があります。
ビタミンD
ビタミンDの働きは、カルシウムの吸収をサポートし、骨の形成、維持をうながすことです。
摂取されたビタミンDは、肝臓と腎臓を経て、活性型ビタミンDに変換されます。
活性型ビタミンDは、腸でのカルシウムの吸収を高め、血中のカルシウム濃度を高めます。
これにより、カルシウムが骨や歯に沈着し、成長促進や骨密度アップの働きをします。
人間の体にあるカルシウムのうち、99%は骨にあり、残りの1%は血液や筋肉に含まれます。
血液中のカルシウムは、筋肉の収縮などに役立てられます。
ビタミンDは、この血中カルシウム濃度をコントロールする役割も担っていて、カルシウムの摂取量が少ないと骨にあるカルシウムを血液に放出し、十分にある場合には、骨に蓄えます。
ビタミンDが不足すると、成人は骨軟化症になります。
子供の場合には、骨の発達障害が起こり、背骨や脚の骨が曲がって、O脚、クル病の原因になります。
また、高齢者や閉経後の女性が欠乏すると、骨粗しょう症の原因にもなります。
骨粗しょう症になると、骨がもろくなり、ほんの少しの衝撃が加わっただけで骨折してしまいます。
高齢者の場合、それが原因で寝たきりとなるケースも少なくありません。
骨粗しょう症の予防には、早い時期からカルシウムやビタミンDを十分摂取することが大切です。
ビタミンE
酸化ケア力が強く、体内の活性酸素をケアし、悪玉コレステロール対策に役立ちます。
体の中から若々しさを保つ大切な成分です。
抗酸化作用は美肌をキープするためには必須なもので活性酸素を減らしてくれる作用があります。
また、ビタミンEはビタミンCの吸収率を高める効果があります。
冷え性改善・肩こり改善・美肌効果
ビタミンEは、末梢神経や毛細血管を広げて血行を促進し、自律神経を整えます。
血流が良くなるので、冷え性や肩こり、腰痛などが改善されます。
全身の血行がよくなることで新陳代謝が活発になり、肌のハリが出てきます。
さらに、ビタミンEは紫外線に対する抵抗力を上げる特性もあるので、シミやそばかすにも効果的です。
貧血予防
赤血球の細胞膜を強化することから貧血予防に効果的です。
血行を良くする効果
善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らして、血行を良くします。
血行が良くなると、血管も強化されます。
また、血管壁に沈着しやすい中性脂肪を減らす働きがあるので、動脈硬化の予防にもなり、血圧が下がります。
抗酸化作用によって、過酸化脂質の生成を抑え、生体膜を活性酸素から守り老化を防ぐ
毒性が強い過酸化脂質は、不飽和脂肪酸と酸素が結合してできる物質で、細胞内にできやすく、強い毒性があります。
そして、細胞膜を破壊して細胞の働きを衰えさせ、栄養分の補給や老廃物の排出などの機能を麻痺させます。
これが老化現象です。
抗酸化作用のあるビタミンEを摂取することで、過酸化脂質の生成を抑え、細胞が急激に老化するのを防いでくれます。
黄体ホルモンや性ホルモンのバランスを整える
ビタミンEは女性ホルモンの代謝にも関与しています。
脳下垂体に働きかけてホルモンの分泌を促進させ、月経前のイライラや生理痛、生理不順などを改善します。
ビタミンEは女性の不妊治療や更年期障害の治療に使用されることもあります。
ビタミンEは黄体ホルモンや性ホルモンなどのホルモンの生成に関与しています。
更年期障害は、黄体ホルモンの分泌状態が変化することにより、月経異常や身体的、肉体的に不安定な状態が起こるものですが、ビタミンEによって黄体ホルモンが生成されることで、その症状は軽減されます。
同様に性ホルモンのバランスが重要な生殖機能を正常に保つ働きもあります。
亜鉛
亜鉛は新陳代謝に関わっていて、肌のターンオーバーを促進します。
体内で新たな細胞をつくるために必要な酵素の必須成分であり、200種類以上の酵素に含まれる成分です。
酵素はさまざまな代謝をスムーズに行うために欠かせない物質です。
細胞の生まれ変わりや糖質のエネルギー化、血糖調節ホルモンであるインスリンの構成成分(インスリンの分泌を盛んにして血糖値を下げる)、免疫力を高めるなど、役割は多岐にわたっています。
細胞の新生を活発にさせ、骨や皮膚の発育を促す働きがあります。
体に貯蔵しておく事が出来ないため、1日の中でバランス良く摂取することが大切です。
様々な酵素を作り出すのをサポート、タンパク質の合成、疲労回復や免疫力強化に関わる万能ミネラルです。
また、抗酸化酵素スーパーオキシドジスムターゼ(Zn-SOD)の成分としても重要です。
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)は活性酸素を還元する酵素で、亜鉛や銅が構成成分となっています。
亜鉛が不足した場合
不足してしまうと、新陳代謝のサイクルが遅れるため、肌がカサつく他、脱毛、フケなどが起こります。
また、脳の機能が低下し、記憶力が悪くなることもあります。
特に味覚細胞は寿命が短く、10~12日で新たな細胞に変わるため、不足すると代謝ができず、食べ物の味がわからなくなります。
また、性ホルモンの分泌にも関係しています。
不足すると、女性の場合は生理不順などの原因になります。
さらに、亜鉛不足で貧血の原因にもなります。
鉄
コラーゲンの再合成
鉄はたんぱく質の一種であるコラーゲンの合成にかかわっています。
肌や髪、爪の質の低下はたんぱく質だけでなく、鉄不足が原因の場合が多いといわれています。
コラーゲンは体内に入るときに分解されてしまうのですが、それを再合成するときに鉄が必要です。
また、ニキビや湿疹ができやすいのも、鉄欠乏が原因している場合があります。
赤血球の成分となって全身に酸素を運ぶ
鉄分の働きは血液に乗って全身に酸素を運ぶことです。
鉄は赤血球の血色素「ヘモグロビン」や、筋肉の「ミオグロビン」などの構成性成分となり、体内で酸素を運搬する役割を担っています。
体力の回復を早めたい方、特に鉄分が気になる女性の方に必要な栄養素です。
鉄は赤血球を作るのに必要な栄養素です。
体内の鉄分が不足すると全身への酸素供給が不足し、体がだるい、疲れやすいと感じやすくなります。
活性酸素を除去して老化を抑制する効果、体内の免疫機能の維持などの効果もあります。
ヘム鉄と非ヘム鉄
食物中の鉄には「ヘム鉄」と呼ばれる二価鉄と「非ヘム鉄」と呼ばれる三価鉄があります。
吸収率はヘム鉄が約15~25%、非ヘム鉄では吸収率がわずか2~5%です。
「ヘム鉄」の方が吸収率は5~6倍高くなっています。
ヘム鉄(二価鉄)はそのまま腸管で吸収することができます。
非ヘム鉄の三価鉄は結合している有機物が胃酸によって溶解し、ビタミンCなどの作用で二価鉄に還元されたのち腸管から吸収されます。
腸管で吸収された鉄は、小腸粘膜細胞で三価鉄になりアポフェリチンというたんぱく質と結合し、フェリチンとなります。
ヘム鉄
ヘム鉄の吸収率は約15~25%です。
胃壁や腸管を荒らさず、タンニンや食物繊維などの吸収阻害を受けずに吸収されます。
さらに過剰摂取の心配がなく、身体に優しい鉄分です。
非ヘム鉄
非ヘム鉄は吸収率がわずか2~5%です。
腸から吸収される際にタンニンや食物繊維などの吸収阻害を受けていたり、胃腸や腸管を荒らすといった副作用があります。
機能鉄と貯蔵鉄
体内の鉄は、ヘモグロビンやミオグロビンのように、酸素の運搬役としての役割を果たしている「機能鉄」の他に、肝臓や脾臓、骨髄などに貯蔵されている「貯蔵鉄」があります。
鉄が骨髄に運ばれると赤血球合成に利用されます。
肝臓や脾臓に運ばれると、フェリチンとして三価鉄の状態で貯蔵されます。
さらにフェリチンの凝集体であるヘモジデリンとしても蓄えられます。
機能鉄が不足すると、それを補うために貯蔵鉄が利用されます。
これが少なくなると、鉄欠乏による貧血を起こします。
血液検査で貧血と診断されなくても、この貯蔵鉄が減少している状態の人も多いと言われています。
男性や閉経後の女性には、貧血はほとんど見られないのですが、月経のある年代の女性や妊娠中の方は、欠乏しやすいので注意が必要です。
体内の鉄分布
成人のからだには約4g(4000mg)の鉄が存在します。
赤血球
ヘモグロビンに含まれて、酸素を運搬します。
分量:3000mg
割合:60~70%
肝臓・脾臓
フェリチンやヘモジデリンとして貯蔵される。
分量:1000mg
割合:20~25%
筋肉
ミオグロビンに含まれて、酸素を運搬・貯蔵。
分量:130mg
割合:3~5%
骨髄
フェリチンとして貯蔵される。
分量:130mg
割合:4%
血漿
トランスフェリンとして結合して運ばれる。
分量:4mg
割合:0.1%
※血液中(赤血球を除く)の鉄が減少すると、フェリチン中の鉄が輸送たんぱく質のトランスフェリンと結合し、血液中を運ばれていきます。
鉄の吸収促進と阻害
食品中の鉄の多くは、吸収されにくい三価鉄の非ヘム鉄であるため、鉄吸収に影響を及ぼす要因に注意する必要があります。
鉄の吸収を促進するもの
ビタミンC
三価鉄を二価鉄に還元し、吸収を高めます。
クエン酸
鉄を溶けやすくします。(キレート作用)
※キレート作用とは?
クエン酸は身体に吸収されにくいカルシウムやマグネシウム、鉄、亜鉛などの脂溶性のミネラルを水溶性に変え、吸収を良くします。これをキレート作用といいます。
動物性たんぱく質
ミートファクター
※ミートファクターとは?
動物性たんぱく質は、ヘム鉄が利用されるのを助け、非ヘム鉄の溶解を助ける働きがあります。
この働きをミートファクターと呼びます。
鉄の吸収を阻害するもの
タンニン、フィチン酸
三価鉄が二価鉄に還元される前に結合して不溶性となり、鉄の吸収を阻害します。
タンニンを含むコーヒーや紅茶、緑茶などは、食事中や食後に飲むと余計に鉄分の吸収が悪くなってしまいます。
食物繊維
多量の食物繊維は、消化管内で、鉄をはじめとする陽(金属)イオンと結合して便中に排泄してしまいます。
ダイエットのためにサプリメントなどで食物繊維を大量に摂取する際には注意が必要です。
鉄の過剰症
鉄の吸収率は極めて低く、また腸粘膜にあるフェリチンという貯蔵鉄が鉄の吸収を調節(余った鉄は貯蔵されます)しているため、必要以上に吸収されることはほとんどありません。
それでも余った鉄は排泄されるので一般的な食事では過剰症の心配はありません。
しかし、サプリメント(鉄剤)などで必要以上に摂取すると、鉄が沈着するヘモクロマトーシスになる可能性があります。
※ヘモクロマトーシス
肝臓などの臓器の細胞に鉄が異常沈着し、肝機能障害を起こします。
EPA・DHA
ダイエット効果
オメガ3脂肪酸のEPA やDHAには、脂質代謝改善効果があります。
これは、血液中や肝臓の中にある中性脂肪の量を減らす効果です。
中性脂肪自体は体を動かすエネルギー源ですが、過剰になると、肝臓から血液を経由して内臓・皮下などの全身に体脂肪としてたくわえられることになります。
これがいわゆる内臓脂肪や皮下脂肪です。
EPA やDHAは、太る原因となっている中性脂肪を代謝することによって、太ることを防いでくれます。
また、血中のコレステロールを減らす作用があります。
DHAは脂肪を燃やす酵素である燃焼リパーゼの働きを高めて、脂肪燃焼を促進します。
EPAは、血液をサラサラにする効能を持っていることから、中性脂肪を減少する効果が大きいと言われています。
また、体内にはGLP-1と呼ばれる「痩せるホルモン」があります。
EPAを摂取すると、小腸を刺激してGLP-1の分泌を促進しますので、ダイエットに役立つ事が報告されています。
美肌効果
EPA・DHAには全身の血流を改善させる働きがあることから、肌のターンオーバーを整える働きがあります。
血流が改善すると、全身の新陳代謝が活発になり、不要な老廃物が早く排出されるようになります。
これは肌でも同様で、EPA・DHAを摂取することによって血流が改善されると、古くなった角質が排出されるようになって、肌のターンオーバーが整うようになります。
他の成分の効果をアップさせる効能
EPA・DHAは全身の血流を改善します。
血流が改善することで、全身のすみずみまで栄養素が行き渡るようになります。他の美容成分やダイエット成分、健康成分と一緒にEPA・DHAを摂取すると、その成分が体やお肌の細部まで届くようになり、効果がいっそう高まることが期待されます。
免疫機能の調整・アレルギー症状(花粉症など)の改善
EPAやDHAには、免疫機能を調整する作用があり、加えてぜんそくやアトピー性皮膚炎の炎症を抑える効果もあります。
DHA・EPAは花粉症といったアレルギー症状の緩和に効果があります。
魚介類はアレルギー反応を誘発する可能性が高いので、EPA、DHAをとる時は、サプリメントで代用するとよいとされています。
最新研究で判明したEPAの効果
最新の研究で、EPAは神経細胞を成長させることが確認されています。
神経細胞が繋がれば、情報が伝達できるようになり、記憶力が回復します。
つまり、もの忘れや認知症の予防・改善効果があります。
さらに、EPAには脳の血流が悪い場合、改善してくれるという働きも判明しています。
現在の認知症の治療薬は、記憶力の低下を一時的に抑えるものが多く、副作用も報告されています。
EPAなら記憶力の回復を望めるうえ、薬のような副作用の心配がありません。
DHAの効果
DHAは、脳をはじめとする神経組織に多く含まれ、脳や神経の発育や機能維持に重要な役割を果たしています。
また、細胞を活性化させ、認知症を予防するとの研究結果も出されています。
人の脳のニューロンという神経細胞の突起の先端にはDHAが含まれています。
ニューロンの突起がつながって神経回路をつくり、情報伝達を行いますが、DHAが不足すると情報伝達がうまくいかなくなり、学習能力や記憶能力に影響を与えます。
DHAは、脳血管の入口にある血液脳関門を通過できる性質があり(血液中のすべての成分が脳に入れるわけではありません)、脳や神経系への薬理作用が認められています。
その他、DHAは神経伝達物質のアセチルコリンのレセプターを活発にすることが報告されています。
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