桑の葉
桑の葉には、DNJと呼ばれる糖対策に有効な成分が含まれ注目を浴びています。
また、桑の葉には、DNJ以外にも、ビタミン、ミネラル、フラボノイド、γ-アミノ酪酸【ギャバ(GABA)】、食物繊維などの成分が豊富に含まれています。
桑の葉は、酸化予防や糖化予防などにも効果的で、健康や美容に効果的な素材として注目を浴びています。
糖化は肌老化の原因
シミ、シワ、たるみ、くすみ、毛穴が肌の五大老化サインといわれています。
このような老化を引き起こす根本的な原因は、主に紫外線、乾燥、血行不良、糖化、ホルモン不足にあるとされています。
桑の葉には、このうち糖化予防に効果的です。
糖化
糖化とは、糖とたんぱく質が結びつき、たんぱく質を劣化させることです。
AGEs(終末糖化産物)という物質が生まれ、それが体の細胞を傷つけて老化や病気を招きます。
糖質を摂り過ぎると、体内に血糖が多い状態になります。
血糖が細胞に取り込まれ、たんぱく質と結びついて化学変化を起こして変質すると、最終的にAGEsができます。
体内に余った血糖がAGEsを作り出す
酸化とともに、病気や老化の原因とされているのが、糖化です。
糖化とは、体内の余分な血糖とたんぱく質が結びつき、酸化などの化学変化を起こして「AGEs(終末糖化産物)」という物質になることです。
食材を加熱すると、きつね色の焦げ目ができます。
これは食材の中の糖質とたんぱく質が結びつき、加熱によって酸化するために起こります。
同じことが体の中で起こります。
AGEsは、体内のたんぱく質、つまり細胞を酸化させる働きがあります。
こうして、酸化と同じように、糖化は病気や老化の原因となります。
皮膚への影響(たるみやシワの原因に)
肌の弾力が失われ、しわやたるみができる原因となります。
肌にはコラーゲン繊維があります。
コラーゲン繊維は3本の繊維質でできていて、架橋というものでつながっています。
この構造が肌の弾力やハリを保っています。
AGEsがコラーゲン繊維に沈着し、不要な架橋を増やしてしまうと、肌の弾力やハリがなくなり、シワができやすくなります。
肌にある美肌たんぱく質に糖がこびりついてしまうと、茶色くくすんで、固くなり、弾力性もなくなってしまいます。
糖化が進むと肌の弾力性が失われ、たるみやシワの原因になります。
糖化の原因は、糖の過剰摂取や急激に体内の糖量が増えて処理しきれなくなること、肥満、運動不足、ストレス、過労、睡眠不足などが挙げられます。
このような原因から、肌の真皮にあるハリと弾力を保つコラーゲンやエラスチンなどのたんぱく質に糖が結合して、「AGEs(終末糖化産物)」という褐色の老化物質が蓄積します。
するとコラーゲンは、ハリや弾力を失い、黄ばみ、くすみなどの肌老化を起こします。
それだけでなく、肌の基底層にある新しい細胞を生み出す線維芽細胞もAGEsが増えるとダメージを受けて、数が減ってしまいます。
また紫外線も皮膚のコラーゲンやエラスチンを傷つけて、AGEsをできやすくしてしまいます。
桑の葉に含まれる糖化予防成分
1-デオキシノジリマイシン(DNJ)
桑の葉の特有成分です。
DNJには血糖値を抑える働きがあります。
血糖値は、ごはんやパンなどの糖質が消化酵素の働きでブドウ糖に分解され、小腸から血液中に吸収されるときに一時的に上昇します。
このときすい臓から分泌されるインスリンが働き、ブドウ糖が血液から細胞に取り込まれ、血糖値が下がる仕組みになっています。
1-デオキシノジリマイシン(DNJ)は、糖質をブドウ糖に分解するα-グルコシダーゼという酵素の働きを阻害し、ブドウ糖の体内への吸収を抑える働きをします。
この働きによって食後に起こる血糖値の上昇を抑えることができます。
食物繊維
糖質の吸収スピードを下げる働きがあります。
食物繊維は糖の吸収のスピードを抑える働きがあります。
ビタミンB1
代謝を助け、AGEsを減らす効果があります。
ビタミンB1は糖質や脂質をエネルギーに変えるのを助ける働きがあります。
糖質をエネルギーとして消費するため、体の中にたまってAGEsになるのを防ぐ働きをします。
ビタミンC
酸化を防いで、AGEsが生まれるのを防ぐ
糖質とたんぱく質が結びついて酸化するとAGEsができます。
酸化を防ぐ働きのあるビタミンCを摂ると、AGEsの発生を抑えることができます。
ビタミンA、ビタミンE
脂質に作用し、糖化・酸化の害から守る働きがあります。
油に溶けやすい性質をもち、細胞膜の脂質が酸化するのを防ぐ働きがあります。
細胞膜で酸化・糖化が起こるのを防ぐ働きをします。
DNJ(1-デオキシノジリマイシン)の効能
桑の葉に含まれているDNJという成分が、今大変注目されています。
DNJは、ブドウ糖と非常によく似た構造をしている物質で、桑の葉に含まれる特徴的な成分です。
桑の葉以外の植物にも含まれていることがわかっていますが、含有量はごく微量です。
DNJがこれだけ豊富に含まれているのは桑の葉だけです。
DNJの体への作用
でんぷんや砂糖などの糖分を食べると、消化酵素によって細かく分解され、最後はグルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)などの単糖類になります。
糖分は小腸で吸収されますが、単糖類の状態にならないと腸管からは吸収することはできません。
糖が2つくっついている状態の二糖類を切り離して単糖類にする酵素(α-グルコシダーゼ)が小腸の壁の絨毛に存在しています。
糖分はこの酵素の働きにより最終的に単糖類になって、やっと腸壁から吸収できる形になります。
体内ではこのような反応が素早く起こるため、ごはんやパン、特に砂糖が含まれる甘い物を食べると急激に血糖が上昇してしまいます。
そこで活躍するのが、「DNJ」です。
DNJはブドウ糖と構造が似ているため、ブドウ糖の代わりに糖質の分解酵素(α-グルコシダーゼ)と結合してしまうと考えられています。
DNJとくっついてしまったこの酵素は、あとから本物の糖分がきても働くことができません。
つまり二糖類は単糖類になることができないため、吸収されることなく、そのまま小腸の中を素通りしていってしまいます。
DNJの効果【糖吸収をゆるやかにし、血糖値の急激な上昇を抑える】
二糖類を分解する酵素の働きを抑制する作用は、医薬品として販売されている糖吸収抑制薬と同等くらいの効果があると学会で発表されています。
ただしDNJは、糖分の吸収をまったく抑えてしまうというわけではありません。
DNJと糖質分解酵素の結合はゆるやかなものですし、腸管は長いので、すべての酵素を阻害するわけではありません。
糖分がピタッと吸収されなくなるというより、おだやかに時間をかけて少しずつ吸収されるようになるといわれています。
糖分は糖尿病や肥満の原因として悪者扱いされることが多いのですが、脳や心筋などの大切な栄養源となるものですので、完全に吸収をブロックしてはまずいものです。
しかし摂り過ぎた場合や、血糖値コントロールがうまくいかなかったときに問題が生じてきます。
糖分がゆっくりと吸収されると、血液中にある糖(グルコース)の量、つまり血糖値もゆるやかに上昇します。
血糖値が急激に上がらないというのは、体にとって非常にメリットがあります。
インスリンの分泌をコントロールしてすい臓の負担を軽減
単糖類に分解されやすい砂糖などをたくさん食べると、腸管内での吸収が速いため、血糖値が急激に上昇します。
血糖値が急激に上がると、血糖値低下作用をもつホルモンであるインスリンも多量に分泌されます。
これが長い期間繰り返されると、すい臓のインスリン分泌細胞(β細胞)が衰え、インスリンが必要なときに分泌されなくなってしまうことがあります。
すると血糖値が高いままになってしまい、さまざまな健康障害が起こってきます。
これが糖尿病の始まりです。
DNJにより糖分の吸収がゆるやかになると、血糖値の急上昇を抑えることができるので、インスリンの多量分泌も防ぐことができます。
このことですい臓のダメージが抑えられ、β細胞の破壊を防ぐということができます。
糖尿病
正確には、α細胞とβ細胞があり、α細胞からはグルカゴン、β細胞からはインスリンというホルモンが分泌されます。
作用は正反対で、グルカゴンは血糖値を上昇させ、インスリンは血液中のグルコース(ブドウ糖)を細胞に取り込んでエネルギーとして利用し、血糖値を低下させます。
このバランスが取れているときは健康ですが、インスリンが不足してブドウ糖が利用できず、血糖値が上がった状態が続くと糖尿病になります。
糖吸収抑制とインスリンのコントロールによるダイエット効果
糖分の吸収を抑えたり、インスリンの分泌をコントロールしたりすることで、ダイエット効果も期待できます。
ただし、桑の葉には急激な体重減少作用はなく、穏やかなダイエット効果が期待ということです。
糖分の消化吸収を完全にブロックするのではなく、ゆるやかに遅らせるというDNJの作用は、マイルドで安全性も高いといえます。
腸内の悪玉菌を減らし、腸内環境を整える効果
吸収されないまま大腸にまで届いた糖は、腸内細菌によって分解されると考えられています。
大腸には約100兆個もの腸内細菌が生息しています。
腸内細菌のバランスというのは健康に非常に深く関わっています。
悪玉菌の割合が増えてしまうと便秘がちになり、肌への悪影響や生活習慣病、がんのリスクも高くなってしまいます。
悪玉菌に対抗する善玉菌は、一般的に糖分をエサにしているものが多いので、大腸内に糖分があると優位になります。
桑の葉のDNJの働きにより小腸で吸収されなかった糖はそのまま腸まで大腸まで運ばれます。
大腸内で糖は、善玉菌のエサになり、善玉菌を増やすことで腸内環境を整えます。
このことにより大腸内の内容物を軟化させると考えられています。
桑の葉を摂取するタイミング(食事15分前からの摂取がベスト)
糖吸収の抑制を目的とするなら、食事の15分くらい前から食事中にかけての摂取が望ましいといわれています。
食べた糖分が腸に届く前にDNJが糖質分解酵素と結合しなければならないので、食後ではちょっと遅いといえます。
またDNJと糖質分解酵素の結合は短時間しかもたないと考えられていますので、あまり早く摂りすぎても効果を発揮しません。
桑の葉の作用はとても穏やかなので、安全性も非常に高いといわれています。
副作用も、体質によって便が多少ゆるくなるくらいといわれています。
桑の葉の栄養素
豊富な栄養素が含まれています。
特有成分が糖をコントロールしてくれるため、甘い物や炭水化物が好きな方におすすめです。
桑の葉の効能は次の通りです。
・糖質の代謝を促進
・脂肪の燃焼を促進
・新陳代謝の促進
・むくみ解消
・リラックス作用
・便秘解消
・肌荒れ予防
・血糖値上昇を抑える効果
・血流の改善効果
桑の葉の含有成分
・1-デオキシノジリマイシン(DNJ)
・クエルセチンマロニルグルコシド
・ルチン
・イソクエルシトリン
・γ-アミノ酪酸【ギャバ(GABA)】
・ビタミンA
・ビタミンB1
・ビタミンB2
・葉酸
・ビタミンC
・ビタミンE
・β-カロテン
・カルシウム
・マグネシウム
・カリウム
・鉄分
・亜鉛
・食物繊維
桑の葉の含有成分の効果
・1-デオキシノジリマイシン(DNJ)
・クエルセチンマロニルグルコシド
・ルチン
・イソクエルシトリン
・γ-アミノ酪酸【ギャバ(GABA)】
・ビタミンA
・ビタミンB1
・ビタミンB2
・葉酸
・ビタミンC
・ビタミンE
・β-カロテン
・カルシウム
・マグネシウム
・カリウム
・鉄分
・亜鉛
・食物繊維
1-デオキシノジリマイシン(DNJ)
桑の葉の特有成分です。
DNJには血糖値を抑える働きがあります。
血糖値は、ごはんやパンなどの糖質が消化酵素の働きでブドウ糖に分解され、小腸から血液中に吸収されるときに一時的に上昇します。
このときすい臓から分泌されるインスリンが働き、ブドウ糖が血液から細胞に取り込まれ、血糖値が下がる仕組みになっています。
1-デオキシノジリマイシン(DNJ)は、糖質をブドウ糖に分解するα-グルコシダーゼという酵素の働きを阻害し、ブドウ糖の体内への吸収を抑える働きをします。
この働きによって食後に起こる血糖値の上昇を抑えることができます。
糖尿病について
血中におけるブドウ糖の濃度(血糖値)は、インスリンというホルモンによってコントロールされています。
この数値が80~140mg/dlの範囲であれば正常なのですが、インスリンの分泌が低下したり、働きが悪くなると血糖値は上昇します。
この状態が糖尿病です。
糖尿病のタイプには1型と2型があります。
ウイルス感染や異常な免疫反応が原因でインスリンの分泌が絶対的に不足して発症するのが1型です。
喉の渇きや空腹、頻尿などある日突然、はっきりした自覚症状を伴って発症するのが特徴です。
2型は遺伝子要素にカロリーの過剰摂取や運動不足、ストレスなどの生活習慣が加わって発症すると考えられています。
こちらの症状は進行が遅く、気づきにくいのが特徴です。
40~50代を中心に増加傾向の糖尿病は圧倒的に2型です。
糖尿病の放置はやがて網膜症、腎症などの重篤な合併症をもたらします。
クエルセチンマロニルグルコシド
桑の葉に含まれるフラボノイドです。
優れた抗酸化作用を持ち、血流の改善や代謝の健全化などの効果があります。
ルチン
血管強化・血流改善に優れた効果
ルチンはフラボノイドの一種(ビタミンPの一種)です。
ルチンはコラーゲンをつくるビタミンCの働きを助けて、毛細血管を丈夫にする働きがあります。
血管の弾力性を維持し、若さを保つ上でコラーゲンは重要な役割をしています。また、血管中のコラーゲンは血管壁に生じた傷の修復にも働きます。
コラーゲンの生成がうまくいかなくなると、血管中のコラーゲンも変性し、血管の弾力が失われるほか、傷の修復もうまくいかなくなります。
ルチンには毛細血管を強化し、内出血を防ぐ働きがあります。
ビタミンCとともにコラーゲンの合成に関わるため、健康な皮膚を保つ働きもあります。
また、ルチンには毛細血管の収縮作用があり、血流改善に優れた効果があります。
ルチンには高血圧降下作用がありますので、高血圧の改善を促す作用もあります。
ルチンが欠乏すると、歯ぐきから出血しやすくなったり、傷が治りにくくなったりします。
ビタミンP(バイオフラボノイド)
ビタミンPは、ビタミンに近い働きをする水溶性のビタミン様物質です。
柑橘類に多く含まれるヘスペリジン、ソバに豊富に含まれるルチン、タマネギに含まれるケルセチンなどのフラボノイドの総称です。
植物由来の化合物で、フラボノイド化合物、バイオフラボノイドなどと呼ばれています。
ビタミンCの吸収を助け、さらにビタミンCの優れた抗酸化作用を促進します。
毛細血管の結合組織のコラーゲンを作るビタミンCの働きを補強し、毛細血管を丈夫にする効果があります。
毛細血管の透過性が高くなるのを防いでくれるので、抗毛細血管浸透性因子などとも呼ばれています。
この他、高血圧の予防や血中の中性脂肪を減らす作用、血液の浄化、血流の改善、抵抗力の向上などにも効果があると注目されています。
ビタミンPが不足すると、疲れやすくなる、風邪をひきやすくなるなどの症状が出ることがあります。
イソクエルシトリン
水分代謝を活発にしてくれるので、むくみに効果があります。
γ-アミノ酪酸【ギャバ(GABA)】
リラックス作用
GABAは、脳内に多く存在する抑制性神経伝達物質で、脳の酸素供給量を増やして脳細胞を活性化する働きがあり、精神安定作用、不眠、イライラなどの改善に効果があるといわれ、リラックス効果が得られます。
ダイエット効果
肝臓の働きを活発にしてアルコール代謝を促進させたり、内臓機能を活性化して基礎代謝を高める一方、血液中のコレステロールや中性脂肪を抑制する働きがあることから、肥満や糖尿病の予防や改善への効果が期待されています。
血圧正常化
老廃物などを血液中からろ過し、尿として排泄する腎臓の働きを活性化することで、利尿作用を促し、血圧を低下させて正常にする効果があります。
その他の効果
その他、脳の血流量や酸素供給量を増やし、脳の代謝・機能を活性化する働きがあります。
ビタミンA
ビタミンAは肌の修正や再生に必要な成分であることから、美肌効果が期待できると言われています。
ビタミンAの主要な成分であるレチノールには、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めたりする働きがあります。
ビタミンAが不足すると、夜盲症(暗いところで物が見えづらくなること)になると言われています。
これは、網膜にあるロドプシンという明暗を感じる物質(視覚色素)が、ビタミンAから作られるためです。
また、ビタミンAは体内で発生する活性酸素から、からだを守る働きがあり、若さと健康を保つことができます。
ビタミンAが十分でない場合には、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンD、カルシウム、リン、亜鉛はその効果が発揮されません。
栄養素の潤滑油としても、ビタミンAを摂取することは重要です。
ビタミンB1
次のような効能があります。
・皮膚や粘膜の健康維持を助ける働き
・糖質をエネルギーに変えて疲れにくくする働き
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える働き(糖質の代謝を促進)があります。
体内で糖質をエネルギーに変えるとき、酵素の働きが必要になります。
この酵素がしっかりと機能するには補酵素が不可欠で、ビタミンB1は補酵素の働きを果たしています。
糖質代謝を促す酵素はアミノ酸だけからなる純タンパク質(アポ酵素)で、この酵素の働きを助ける補酵素がなければ、糖質をエネルギーに変えることはできません。
乳酸を分解して筋肉の疲れをやわらげる働き
ビタミンB1が不足すると、糖質がきちんと代謝できず、体内に乳酸などの疲労物質が蓄積され、疲れやすくなったり、筋肉痛を起こしやすくなったりします。これが肩こりの原因になると言われています。
脳や神経を正常に保つ働き
ビタミンB1は、脳や神経にとっても大切で、中枢神経や手足の末梢神経を正常に働かせる作用があります。
ビタミンB1は脳や神経の働きを助けるので集中力が増し、記憶力が向上します。
また、手足や足先などの感覚が敏感に働くようになります。
ビタミンB1が不足した場合
ビタミンB1が不足すると、イライラなどの症状や集中力の低下、さらに食欲不振、全身の倦怠感、手足のむくみやしびれ、動悸、息切れ、筋肉痛、脚気などがあらわれます。
また、脳には、血管収縮作用によって脳を活性化させるセロトニンという物質がありますが、ビタミンB1が欠乏することで、セロトニン代謝が正常に行われず、脳の機能がうまく作動せず、気力減退や慢性的な眠気を引き起こします。
アルコールを分解するのにもビタミンB1は必要です。
お酒を毎日大量に飲み、慢性的にビタミンB1が不足している人は、中枢神経が侵されるウェルニッケ・コルサコフ症候群という神経疾患にかかることがあります。
手足や顔面の麻痺、言語障害、記憶障害などがあらわれます。
ビタミンB2
次のような効能があります。
皮膚や粘膜の健康維持を助ける
美容のビタミンとも呼ばれ、皮膚や粘膜を保護し、肌・爪・髪の発育や体全体の抵抗力を強め、成長と生殖を助ける働きをします。
ヒアルロン酸の持つ保水力を高める働き
みずみずしい肌をキープするのにも必須のビタミンです。
脂肪の代謝を助ける(脂肪の燃焼を促進)
脂肪を燃やしてエネルギーに変えるときに、補酵素として働きます。
脂肪が多い食べ物を多くとった時には、ビタミンB2も多めに摂ると、脂肪が次々と燃焼されるので、脂肪太りのダイエットには大きな効果があります。
血液サラサラ効果
体内の活性酸素と結びつくことで生まれる有害物質である過酸化脂質の分解に作用して、コレステロールや中性脂肪を減らす働きがあります。
ビタミンEは過酸化脂質ができるのを防ぐ働きを持っていますが、ビタミンB2はつくられた有害な過酸化脂質を分解・消去するのに役立ちます。
ビタミンB2が不足した場合
不足すると、口内炎など粘膜のトラブルや皮膚炎があらわれます。
酸化・糖化について
見た目の老化や、さまざまな病気を引き起こす原因といわれているのが、酸化と糖化です。
酸化とは、酸素によって細胞が傷つけられることです。
酸素は、私たちが生きるためのエネルギーを生み出すときに必要不可欠なものです。
絶えず呼吸によって体内に取り込んでいますが、その一部が体内で活性酸素に変わり、細胞を攻撃して傷つけます。
糖化とは、体内に余った糖質がたんぱく質と結びつき、たんぱく質を変質させることです。
こうしてできた「AGEs(終末糖化産物)」は、細胞を酸化させる働きがあります。
つまり、酸化と糖化は、同時に起こりやすいといえます。
年齢を重ねるほど、体の抗酸化力が落ちたり、食事や生活習慣の乱れからストレスが蓄積したりして、酸化・糖化の影響が見た目や体調に出やすくなります。
酸化・糖化の影響を抑えるためには、まずは活性酸素を減らす栄養素を摂取することが大切です。
酸化
活性酸素によって体の細胞が傷つけられ、その働きが衰えることです。
全身のさまざまな細胞に酸化が及ぶことで、老化や病気が起こります。
活性酸素
酸素の分子構造が異変を起こして毒性をもったものです。
スーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシラジカルなど様々な種類があります。
糖化
糖とたんぱく質が結びつき、たんぱく質を劣化させることです。
AGEs(終末糖化産物)という物質が生まれ、それが体の細胞を傷つけて老化や病気を招きます。
AGEs(終末糖化産物)
糖とたんぱく質が結びついて化学変化を起こしたものです。
AGEsは一度発生すると元に戻らず体の中にたまります。
酸化・糖化で引き起こされる主な症状
・動脈硬化
・がん
・心臓病(心筋梗塞、不整脈など)
・脳卒中(脳梗塞、脳出血など)
・アルツハイマー型認知症
・胃潰瘍、肝硬変、肝炎、すい炎
・腎炎
・皮膚のしみ、しわ、たるみ
・白内障
・骨粗しょう症
酸化とは(詳細説明)
活性酸素が細胞を傷つける
酸化を引き起こす活性酸素は、本来は免疫を助け、体を守る役割があるものです。
体内に細菌やウイルスが侵入すると、白血球がそれらを退治します。
このとき、白血球が細菌やウイルスと戦うために使われるのが、活性酸素です。
一方、活性酸素が体内に増えすぎると、正常な細胞を攻撃して機能を低下させる悪い働きをします。
酸素は、呼吸によって絶えず体内に取り込まれます。
体を動かすエネルギーを生み出したり、古い細胞を生まれ変わらせるために使われます。
ほとんどの酸素は有効に使われますが、一部は活性酸素になり、細胞を酸化させてしまいます。
また、ストレスも活性酸素を発生させる大きな要因です。
ストレスを感じると体が緊張し、血流が滞ります。
すると、細胞の中で悪い化学変化が起こり、活性酸素が発生します。
体内では、ほかにもさまざまな原因で活性酸素が発生します。
体はつねに酸化のリスクにさらされています。
活性酸素が発生する要因
エネルギーを生み出すときに活性酸素が発生する
食事から得た栄養分は、消化器官で分解されて血液中へ、そして細胞へと取り込まれます。
細胞内では、取り込まれた栄養分が呼吸によって取り入れた酸素を使って燃やされ、ATPという運動エネルギーが生み出されます。
このとき、すべての酸素が使われるではなく、一部は活性酸素に変化してしまいます。
※ATPとは、アデノシン三リン酸という、エネルギーの元となる物質です。
ATPでのみ体は動きます。
脂質や糖質はすべて、ATPにつくりかえられます。
ストレスによる虚血で活性酸素が増える
血流が滞り、細胞に酸素や栄養が届かない「虚血」の状態になると、細胞内の酵素の働きによって活性酸素が大量に発生します。
ストレスによって筋肉が緊張状態になると、一時的に血流が悪くなるため、酸化が促進されます。
新陳代謝でも活性酸素が生み出される
新陳代謝とは、古い組織を壊して新しい組織につくりかえる、体が健康を保つために備えられている仕組みです。
組織を分解したり、再び合成するために、酸化酵素と呼ばれる酵素が働きます。
この酵素が働く過程で、活性酸素が生み出されます。
紫外線などの環境因子で活性酸素が増える
紫外線を浴びると、皮膚の中の光に反応する色素やたんぱく質にエネルギーが溜まります。
このエネルギーによって酸素が変質し、活性酸素が生まれます。
紫外線以外にも、排気ガスやたばこなどの環境因子によっても活性酸素は増加します。
日焼けとシワの関係
シワやシミができる原因には、活性酸素が大きく関わっています。
活性酸素は、余分な資質を酸化させて細胞異常を起こさせようとします。
簡単にいうと、肌を錆びさせようとする悪い因子です。
コラーゲンを破壊することで肌の弾力を奪い、肌細胞を酸化させることでシミやクスミを作ります。
紫外線を浴びるとシワやシミができるのは、紫外線があたった肌に活性酸素が発生するからです。
細菌・ウイルス・薬への反応で活性酸素ができる
細菌などが体内に入ると、白血球が退治してくれます。
白血球が外敵と戦う時に、活性酸を武器として使います。
ウイルスの場合、増殖したウイルスが体内で死んだときに活性酸素を生み出します。
細胞が酸化すると血管や臓器、肌が衰えます
活性酸素は、細胞内で次々に化学変化を起こします。
そのときに細胞を酸化させます。
細胞は傷つけられ、機能が低下します。
細胞の酸化は、体のあちこちで起こります。
血中の悪玉コレステロールが酸化すると、血管を傷つけて動脈硬化につながり、心筋梗塞や脳梗塞などの原因となります。
また、肌の細胞が酸化すると、新陳代謝が活発に行われなくなります。
しみ・しわ・たるみのもとになり、見た目の老化をもたらします。
肌の細胞には、約28日周期で新陳代謝を促す働きがあります。
細胞が酸化すると、新陳代謝が行われなくなり、肌細胞がどんどん老化します。
抗酸化物質による酸化防止
体には活性酸素を無害化するしくみがあります。
活性酸素を無害にすることを抗酸化といいます。
細胞のミトコンドリアで発生した活性酸素は、体内で作られる抗酸化酵素、食べ物などから摂取した抗酸化物質の働きによって分解され、無害になります。
このしくみが十分に機能していれば、酸化の悪影響を抑えることができます。
体内で作られる抗酸化物質や抗酸化酵素は、年齢とともに量が減ります。
そのため、食べ物から抗酸化物質を摂る必要があります。
食べ物に含まれる抗酸化物質には、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノール
などがあります。
ビタミンC
主に細胞が酸化するのを防ぎます。
ビタミンCは、活性酸素を無害な水に分解する働きがあります。
細胞内のミトコンドリアで生み出された活性酸素が、細胞を酸化させる前に、ビタミンCがそれを防いでくれます。
ビタミンE
主に脂質の活性酸素を取り除きます。
脂質が酸化されたものは過酸化脂質と呼ばれています。
ビタミンEは過酸化脂質に働きかけて活性酸素を除外し、無害にします。
脂質でできた細胞膜を正常な状態に保つことにつながります。
ビタミンB2
活性酸素を除去し、脂質の代謝を助けます。
活性酸素を除去する作用がある酵素の働きが落ちるのを防ぐ働きがあります。
間接的に、酸化を防ぐのに欠かせない栄養素です。
脂質をエネルギーに変える、細胞や粘膜を再生するなどの働きもあります。
カロテノイド(ビタミンA)
カロテノイドは食物の色素成分で、代表的なものにβ-カロテンやリコピンなどがあります。
体内でビタミンAとなります。
紫外線のダメージによる活性酸素を除去する働きが強い特徴があります。
糖化とは(詳細説明)
糖質を摂り過ぎると、体内に血糖が多い状態になります。
血糖が細胞に取り込まれ、たんぱく質と結びついて化学変化を起こして変質すると、最終的にAGEsができます。
体内に余った血糖がAGEsを作り出す
酸化とともに、病気や老化の原因とされているのが、糖化です。
糖化とは、体内の余分な血糖とたんぱく質が結びつき、酸化などの化学変化を起こして「AGEs(終末糖化産物)」という物質になることです。
食材を加熱すると、きつね色の焦げ目ができます。
これは食材の中の糖質とたんぱく質が結びつき、加熱によって酸化するために起こります。
同じことが体の中で起こります。
AGEsは、体内のたんぱく質、つまり細胞を酸化させる働きがあります。
こうして、酸化と同じように、糖化は病気や老化の原因となります。
皮膚への影響
肌の弾力が失われ、しわやたるみができます。
肌にはコラーゲン繊維があります。
コラーゲン繊維は3本の繊維質でできていて、架橋というものでつながっています。
この構造が肌の弾力やハリを保っています。
AGEsがコラーゲン繊維に沈着し、不要な架橋を増やしてしまうと、肌の弾力やハリがなくなり、シワができやすくなります。
骨への影響
骨粗しょう症を引き起こします。
骨にもコラーゲン(たんぱく質)があります。
骨のコラーゲンにAGEsが溜まると、鉄がさびたような状態になり、もろく折れやすくなります。
また、AGEsが骨をつくる細胞の働きを妨げ、骨密度が下がります。
腎臓への影響
腎機能が低下します。
腎臓には糸球体という、毛細血管が集まった組織があります。
腎臓の毛細血管の働きを助ける細胞が糖化してAGEsになると、毛細血管が詰まって腎臓が機能しなくなることがあります。
血管への影響
動脈硬化を引き起こします。
AGEsはが血管にたまると、血管の弾力が失われて血流が悪くなります。
また、AGEsは血管の内側を傷つけ、血管壁の中に酸化したコレステロールがたまりやすくなり、動脈硬化を引き起こします。
目への影響
白内障になります。
目の水晶体はたんぱく質でできています。
ここに糖が結びついて糖化が起こると、水晶体がAGEsとなって白く濁ります。
濁った水晶体はレンズの役割を果たしきれず、視力が低下します。
糖化を防止する方法とは?
体内に血糖が多いと、たんぱく質と結びつきやすくなるため、AGEsが発生しやすくなります。
そのため、糖質が少ない食べ物、血糖値が上がりにくい食べ物を摂ることが大切です。
糖化の途中段階である酸化を防ぐ、ビタミンやポリフェノールなどの抗酸化物質を摂ることも、糖化予防につながります。
コメント