アラキドン酸
不飽和脂肪酸
アラキドン酸は不飽和脂肪酸の一種で、必須脂肪酸に分類されます。
必須脂肪酸とは、体内で合成することができず、外部から摂取する必要がある脂肪酸のことです。
アラキドン酸は、体内では、リノール酸を原料として、γ-リノレン酸を経て合成されますが、そのリノール酸が必須脂肪酸であるため、アラキドン酸も広い意味での必須脂肪酸に分類されます。
アラキドン酸の役割
細胞膜を構成する主要な成分の一つです。
脳、肝臓、皮膚など体内のあらゆる組織に存在しています。
母乳にも含まれていて、乳児の精神面での発育や学習や記憶能力にも深く関与しているため、乳児の発育には欠かせないものとされています。
アラキドン酸は特に脳細胞の生成や脳機能の向上などに重要な役割を果たします。
目や耳などで得た情報はいったん脳内の海馬に集められ、脳のニューロン(神経細胞)を通って信号として伝わります。
ニューロン間で信号を伝達する接続部のシナプスで神経伝達物質が放出され、その刺激によって情報が伝わるという仕組みになっています。
シナプス伝達が活発に行われるほど、学習能力や記憶能力、認知応答力が高められます。
アラキドン酸はこのシナプス伝達の円滑化を促進しています。
そのため、加齢などの原因でアラキドン酸が減少すると、脳細胞も老化し、記憶能力なども低下します。
また、アラキドン酸は、体内で生体調節ホルモンであるプロスタグランジン2に変わります。
このホルモンは免疫系や神経系の機能調節、血圧調節作用などを調整する働きがあります。
また、血液をサラサラにしたり、肝機能の向上、アレルギー症状の予防・改善、コレステロール値の低下などの作用があります。
アラキドン酸は、妊娠後期の胎児や出生直後の乳児の発育のために、とくに不可欠とされています。
未熟児は健康な乳児に比べて、アラキドン酸の血中濃度が低い傾向にあります。
アラキドン酸が不足した場合
不足すると、免疫力が低下してウイルスや細菌に感染しやすくなります。
また、肝機能に障害が起こることがあります。
胎児、乳児では正常な発育が阻害されます。
過剰摂取した場合
アラキドン酸の摂り過ぎは、動脈硬化、高血圧、慢性の炎症、自己免疫疾患、アレルギー性湿疹、アトピー性皮膚炎などの症状を引き起こします。
アラキドン酸はからだに不可欠な栄養素ですが、過剰摂取は体に好ましくない作用をもたらすので、注意が必要です。
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