身近な危険化学物質【トリクロサン】ハンドソープや歯磨き粉にも配合
コロナの影響でがらりと変わった生活スタイル。
コロナの影響で今年は様々なハンドソープが販売されています。
さらに、マスクが当たり前となった毎日で、自分の息に敏感な方が急増しているそうです。
そのため、【歯磨き粉】も様々なものが販売されています。
ハンドソープや歯磨き粉に含まれている【トリクロサン】
過剰な清潔志向の産物ともいえるトリクロサンは、あらゆる限りのものを抗菌・抗微生物とするために人間がつくりだした化学物質です。
トリクロサンはどんなものに配合されているのか?
ハンドソープ、歯磨き粉、デオドラントに添加され、プラスチック製まな板、ゴミ用ポリ袋、プラスチック製台所用品、クリーニングクロスに染み込んでいます。
トリクロサンの危険性
毒性
トリクロサンはこれまで試験された合成化学物質のなかで、動物に対する発がん性が最も強い部類に入るといわれるダイオキシンとも密接な関係があります。
ダイオキシンは1兆分の1(1ppt)レベルのきわめて低い濃度でも、発生・発達、生殖、免疫系・内分泌系に有害な影響を与えます。
生物に影響を与える最低値を閾値と呼んでいますが、ダイオキシンの閾値は毒性学研究でもまだ明確になっていません。
しかし、それはあくまでダイオキシンの話です。
トリクロサンのメーカー各社は、生分解性であり、生物蓄積性もないので安全であるといっています。
でも、本当に必要で安全なのかは疑問点もあります。
FDA(米国食品医薬品局)の発表
FDA(米国食品医薬品局)は、殺菌剤(トリクロサン、トリクロカルバンなど19種類)入り抗菌せっけん、(日本では「薬用石けん」で販売)の販売を禁止すると発表しました。
FDAは、販売禁止にする理由を、「消費者は、抗菌成分を含む石けんが細菌の繁殖を防ぐと思っているかもしれません。しかし、その成分が一般的な石けんを使った手洗い洗浄よりも、感染予防に優れているという科学的証拠をわれわれは持っていません。とくにトリクロサロンは効果が疑わしいだけでなく、抗菌成分を長期間にわたり使い続けることで、健康への悪影響を及ぼす可能性があるとのデータがあります」(FDA医薬品評価研究センターのジャネット・ウッドコック所長)と表明しました。
FDAの禁止措置を受け、厚生労働省は、FDAが指摘した19成分を使った薬用石けんについて、メーカーに他の成分に切り替えさせるよう指導しろとの通知を都道府県に出しました。
すでにEUは2015年にトリクロサンの衛生用品への使用を禁止にしています。米国や日本の対応は少し遅れていますが、厚労省にしてはいつになく素早い対応といえます。
その大きな理由は、抗菌剤は新たな耐性菌を生み出す危険性があるからです。
米国医師会(AMA)は、すでに2002年に「抗菌剤入りの洗剤を日常的に使うことにより、健康被害や耐性菌を生みだす危険性がある」と警告しています。
その危険性が巷に氾濫する抗菌グッズによってさらに高まっているのです。
トリクロサンは、下水処理場で分解されメチルトリクロサンになると、生物蓄積性がさらに高まります。
また、下水内のトリクロサンは、日光によりダイオキシンに変化することがあります。
トリクロサンのもう一つの問題点は、塩素と結合すると非常に有害性の高いクロロホルムを生成することです。
クロロホルムはトリハロメタンの一種です。
具体的には、トリクロサン配合のハンドソープやボディソープが塩素処理された水道水に混じるケースが考えられます。
環境中の細菌の抗菌剤への耐性を促進
そして何より重要なのは、トリクロサン本来の殺菌作用が、環境中の細菌の抗菌剤への耐性を促進させるのに貢献している可能性があることです。
これは、具体的にどういう問題が起きるのかというと、細菌の殺菌剤への耐性が強くなることで、さらに強力な殺菌剤を使用しないと、殺菌できなくなってしまうことです。
お肌に菌がいない状態は実は危険!除菌や抗菌で皮膚常在菌の乱れが発生中?
除菌や抗菌のための商品がコロナの影響でたくさん販売され、日常生活に欠かせないものになっています。
でも本来は、身の回りに菌がいないというのは不自然なことなんです!
顔の皮膚にいる常在菌の総数は、10億個くらいで、1平方cm当たり約100万個です。
この菌はただいるのではなく、皮膚の健康を保つために重要な役割を持っています。
トリクロサンが細菌を無差別に、かつ容赦なく攻撃するということは、人にとって有益な菌に対しても一律に効果を発揮してしまいます。
もし仮に、無菌状態の皮膚に有害な菌が感染したとしたらどうなると思いますか?
その有害な菌は邪魔されることなく、爆発的に増殖することになります。
ただ、皮膚常在菌は復活しますので、全く菌がいないというのはまずありません。
でも、過度な除菌や洗顔などで、皮膚常在菌が一時的に減少することもありますし。
くり返し行うことで、美肌菌が弱体化することもあります。
トリクロサンのこうした二次的影響の全貌は、まだ十分に解明されていませんが、そもそも抗菌性化学物質と分類される存在であることや、母乳に移行すること、細菌や微生物を無差別に殺すことなどを考えれば、この物質は極力避けるにこしたことはないと言えます。
トリクロサンの危険性を具体的に紹介
アメリカでの事例と日本の厚生労働省の対応
平成28年9月2日、米国食品医薬品局(FDA)が、トリクロサン等19成分を含有する抗菌石けんを米国において1年以内に販売を停止する措置を発表しました。
米国での措置を踏まえ、日本化粧品工業連合会及び日本石鹸洗剤工業会は、これらの成分を含有する薬用石けんに関し、これらの成分を含有しない製品への切替えに取り組むよう会員会社に要請しました。
国内ではこれらの成分を含有する薬用石けんがこれまで約800品目承認されています(注:現在流通していない製品も含む。)が、これらの製品 に関連した医薬品医療機器法上の健康被害は報告されていません 。
これを受けて、厚生労働省としても、この切替えの取組みを促すため、別添のとおり、製造販売業者に対して、流通する製品の把握と、製品を1年以内に代替製品に切替えるための承認申請を求めるとともに、その際の承認審査を迅速に行うことを通知しました。
なお、製品の流通状況等は、今後、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会に報告する予定です。
米国環境保護庁(EPA)・化学物質ステークホルダーフォーラム(CSF)
・米国環境保護庁(EPA)の登録ではトリクロサンは「殺虫剤」とされており、ヒトのリスク評価でも、環境リスク評価でも、リスクが高いと認定されています。
・トリクロサンの生物畜毒性については、米国政府の顧問機関である化学物質ステークホルダーフォーラム(CSF)が設定した要注意化学物質の判定基準に照らせば、「生物畜毒性が非常に高い」部類に入ると見込まれています。
・あるトリクロサンのメーカーは、トリクロサンをあらゆる抗菌剤のなかの「アスピリン」に匹敵する物質と手放して絶賛し、手を洗ったあとも「秘密の保護作用」として、何時間も付着していると述べています。
健康に対するリスク
・トリクロサンを含む抗菌剤や消毒剤は、突然変異によって、薬剤耐性菌やウイルス変異株を生み出す可能性があります。
つまりは、人の免疫力では防御できない有害な微生物を生み出す恐れがあります。
・トリクロサンは一定下で、ダイオキシンに変化したり、水道水中の塩素と結合してクロロホルムを生成したりすることがあります。
トリクロサンはどこにあって、どうやって体内に入るのか?
トリクロサンは経口や皮膚から簡単に体内に浸透する性質があります。
トリクロサンは、抗菌石鹸、デオドラント、歯磨き剤、マウスウォッシュ(口内洗浄剤)、ニキビ予防、フットケア製品によく使用されています。
これら以外にも、プラスチック製のまな板や他のプラスチック製台所用品、子どもの用玩具、靴下、下着、学校の制服、シーツその他の寝具類にも含まれています。
トリクロサンは汚染された食料品からの経口摂取だけでなく、マウスウォッシュや歯磨き剤からも取り込まれます。
石鹸類やスキンケア製品に保存料としてトリクロサンが含まれていれば経皮吸収(皮膚から吸収)されます。
トリクロサンに対してどうすればよいのか?
トリクロサン配合の製品を一般家庭で使用すべき理由はなにもありません。
トリクロサンが含まれていない製品でも十分、洗浄効果があります。
抗菌加工をうたい文句にしている服や寝具類には用心することが大事です。
トリクロサンが染み込んでいるかもしれません。
販売製品には、配合成分や原材料などが記載されているので、そこにトリクロサンの記載がないことを確認しておけばより安全です。
コメント