葉酸
葉酸の働き
葉酸は丈夫な血管やきれいな血液づくりを支えます。
葉酸はビタミンB12とともに、補酵素として、赤血球をつくりだす働きがあります。
赤血球は4ヶ月で死滅しますが、新しい赤血球をつくるのに葉酸が足りないと、正常な赤血球ができず、悪性貧血になります。
悪性貧血とは鉄分不足の貧血と違い、立ちくらみやめまいなどの症状のほかに、胃腸障害や頭痛、倦怠感などを引き起こし、症状が進行すると、神経障害や知覚障害などを引き起こすことがあります。
また、葉酸はアンチエイジングをサポートします。
代謝に関与していて、たんぱく質の生合成を促進します。
たんぱく質は全ての体内組織の原料となるので、新しくて良質のたんぱく質が増えればみずみずしい肌を保てます。
くすみやしわを抑え、美肌をもたらしてくれます。
葉酸は、体内で活性酸素を生み出す物質であるホモシステインと結びつき、活性酸素の増加をストップし、血液の流れをスムーズにします。
血液の流れがスムーズになると「むくみ」や「冷え性」なども改善されます。
葉酸は赤血球をつくりだす働きがあり貧血予防に効果があるため、PMS (月経前症候群)にも効果的です。
また、子宮環境を良好に保つために欠かせない栄養素です。
受精卵の細胞分裂を助ける、子宮内膜の環境を良くし着床を促進する、流産リスクを低減する、胎児の神経管閉塞障害の発症リスクを低減する等の働きがあります。
葉酸はたんぱく質や細胞の新生に必要な核酸(DNA、RNA)をつくるのに重要な役割を果たしています。
核酸は細胞の核にあたり、遺伝情報を保有していて、遺伝情報にそってからだをつくるよう指令をだす生命の根幹です。
胎児が発育する妊娠中や、乳児を育てる授乳中には、必要不可欠です。
特に、妊娠初期に葉酸を適切に摂取することで、胎児の神経管欠損という先天異常のリスクが軽減されます。
葉酸の欠乏症、ビタミンB12の欠乏症として、高ホモシステイン血症というものがあります。
葉酸とビタミンB12は必須アミノ酸のメチオニンの再合成に不可欠
葉酸とビタミンB12は、必須アミノ酸のメチオニンがホモシステインを経てメチオニンに再合成される過程に必要です。
不足すると再合成が進まず、ホモシステインが血液中に異常に増えて動脈硬化やアルツハイマー病を促進します。
※高ホモシステイン血症を引き起こします。
高ホモシステイン血症とは?
ホモシステインの値が高い人は、心臓病やアルツハイマー型認知症になりやすいことがわかってきました。
ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸などのビタミンが不足すると、ホモシステインの変換が不十分になるため、血中に滞留します。
血中のホモシステインは濃度が高くなると、血管壁を傷つけます。
その傷がもとになって動脈硬化が進行するため、ホモシステインは動脈硬化や動脈血栓の原因になります。
さらに、高ホモシステイン血症はアルツハイマー病をはじめとする認知症を引き起こす原因であることが判明しています。
また、脳内のアセチルコリンという神経伝達物質の減少がアルツハイマー型認知症の発病に関係しています。
アセチルコリンの合成を促進するものとして、アセチルコリンの前駆体であるDMAEやアミノ酸のメチオニンが知られています。
葉酸やビタミンB12が不足すると、メチオニンの再合成が進まず、ホモシステインが増加してしまいます。
メチオニンとは?
血液中のヒスタミン(かゆみや痛みを起こす物質)の濃度を下げる作用があります。
また、肝機能の維持や抗うつ作用もあるといわれています。
不足すると利尿作用が衰え、むくみやすくなります。
肝臓で、メチオニンはホモシステインに変換され、メチオニン合成酵素によってメチオニンに再合成されます。
葉酸・ビタミンB12とメチオニンの代謝のメカニズム
葉酸
生体内で葉酸はジヒドロ葉酸に還元され、さらにテトラヒドロ葉酸に変換されて、核酸の成分であるプリン核や塩基のチミンを合成する酵素の補酵素として働きます。
テトラヒドロ葉酸として、葉酸はビタミンB12にメチル基を渡すことで、メチオニン代謝を助けます。
葉酸あるいはビタミンB12が欠乏すると、ホモシステインが過剰に産生されます。
ビタミンB12
ビタミンB12はメチオニン合成酵素として、アミノ酸などの代謝の補酵素として働いています。
ビタミンB12を補酵素として、ホモシステインにメチル基を結合させてメチオニンに変換します。
葉酸の認知症予防効果
葉酸には神経細胞の機能を強化し、脳内神経伝達物質の産生を促す作用があり、認知症を予防する効果があります。
葉酸の摂取でアルツハイマー型認知症のリスクが低下
米カリフォルニア大学アービン校では、認知症ではない60歳以上の579人について、平均9.3年間、追跡調査を行いました。
この間に57人がアルツハイマー型認知症を発症しました。
ビタミンの摂取とアルツハイマー型との関係を検証したところ、葉酸を1日に400μg以上とると、アルツハイマー型のリスクが55%低くなることがわかりました。
このほか、ビタミンB群(葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12)の服用で、脳が委縮する速度を最大53%遅らせることができるという報告もあります。
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